長期にわたる入院生活の中で意欲が失われている患者さまや、「行く先がない」等の理由で「退院したくない」と訴える患者さまへの「退院への意欲」を促すため、以下のような取り組みを行い、地域移行を進めています。
病院全体で長期入院・社会的入院者の地域移行に取り組んでいけるよう、「私たちに何ができるのか?」を常に問い続けていきます。
(1)体験部屋
地域の民間アパートの1室を病院が借り、入院中の患者さまに一人暮らしを体験していただきます。
部屋の利用を呼び掛けるポスターや説明会、見学ツアーを催して啓発に努め、院内で行っていた調理活動等を体験部屋で実施して、患者さま・職員が日常的に体験部屋を利用できる機会を持っています。
実際に体験することで住まいや退院へのイメージを膨らませる機会となり、外泊体験を繰り返して退院に繋がった患者さまもいます。
(2)個別支援
職員からの働きかけによる外出支援等の個別支援の機会を増やし、院外での買い物や介護保険施設の見学など、病院外の世界に触れ、患者さまに入院以外の選択肢に気付いていただく機会を設けています。
このような働きかけを行うことで、患者さまの言動にも変化が見られ、「ずっと入院させてほしい」と言っていた長期入院患者さまが介護保険施設の見学から入所へ至ったケースもあります。
(3)地域で暮らす患者さまとの交流
病棟活動として実施していた患者座談会にデイケアのメンバーが参加し、退院に向けての不安等、実際に地域で暮らしている方の話を直接聞く場を設けたことで、「退院」を具体的な生活として捉え、現実的なこととして考えることが出来るようになりました。